karate-knd5’s blog 野鳥

黒浜沼をホームグランドに野鳥観察を楽しんでます

コウノトリ「歌」を偲んで。

昨年の今頃、今シーズン最後の渡良瀬と思い、コミミズクとハイイロチュウヒに挑戦したときのことです。結局、いずれも撃沈に終わり、この際だからコウノトリをしっかり見ておこうと思いました。ちょうどオスのヒカルと2歳のメスのコウノトリ「歌」が求愛ディスプレイしていました。

当時、歌はまだ2歳でしたので、無事にカップル成立しても、ヒナの誕生は期待できないと思っていましたが、何と昭和46年に国内野生コウノトリが絶滅して以来「東日本初」となる野外繁殖によるヒナを誕生させるという快挙を成し遂げました。と同時に、2歳のメスが産んだ卵が孵化した「日本初」の快挙でもありました。

 

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左足に青の足環が見えるので、巣のなかにいるのがヒカルだと思います。

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足環がはっきり確認できないので確かなことは言えませんが、この時期に求愛行動しているので、もう1羽は♀の歌だろうと思います。

2個卵が孵化したと聞いたので、6月はじめに訪れました。このときは、子育て中で巣に近づくことができません。堤の上から撮影するしかなかったので、不鮮明な写真となりましたが、かろうじて雛の頭が確認できました。

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こちらも、足環からヒカルのようですね。

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孵化した雛はオスとメスで、渡良瀬遊水地にちなんで「ワタル」と「ゆう」と名付けられました。巣立ちには立ち会えませんでしたが、2羽はすくすくと育ったようです。

ところが、「ワタル」と「ゆう」を立派に育て上げた歌ですが、その後、9月末に左足を負傷。保護されましたが、その甲斐なく、10月に死亡が確認されました。

徳島県で孵化して2年と半年の短い生涯でしたが、渡良瀬のみならず東日本に「ワタル」と「ゆう」という希望を授けてくれました。

絶滅危惧種の鳥たちも懸命に命のたすきをつないでいます。

渡良瀬遊水地コウノトリ交流館で歌の剥製が展示されています。